◆後継ぎストーリー

弊社は私の母方の祖父が創業しました。母は4姉妹の長女で、父が婿養子となり会社を継いでいましたが病気で他界、急遽母が代表となり会社を存続しました。その後親戚に経営を任せていましたが、突然母から「会社の株を生前贈与したい」という話がありました。最初は「株を持つだけ」と軽い気持ちでしたが、会社の実情を知るうちに経営にも携わろうと決意しました。祖父は苦労の末に会社を立ち上げ、父は元教師でしたがその道を断って義父の創業した会社を受け継いだ。その長い年月の間、懸命に働き支えてくれたたくさんの人たちがいる。そんな会社が低迷していくことを見過ごすことはできない。それが決断のきっかけです。最初は「最悪、幕を引くなら他人じゃなく私が!」という気持ちで、できることはやってみようと思いました。

◆自分は自分としての経営

工事会社という全く未知の世界で、私に何ができるだろう?と最初はどうしたらいいかわかりませんでした。とにかく経営に関するセミナーや研修を手当たり次第に受講し、その中でだんだん「自分のすべきこと」が見えてきました。会社が機能するために最も重要なのは働く人たち。その社員を大切にし、いきいきと楽しく働ける会社づくりを目指しています。自分が会社員時代にされて嫌だったことはしない、してもらってうれしかったこと・してほしかったことを実行していこうと決めています。

◆自分は自分としての人生

よく「ご主人は何をしているの?」「会社にいないの?」と聞かれますが、最初からそれぞれの実家のことは各自で何とかしようと決めているので、お互いに応援はしますが口は出しません。継ぐと決めた時は自分の人生は終わった、第二の人生は会社のためだけに生きようと思いましたが、今はオン・オフのバランスをとることで心身の安定を保てるように、意識的にオフの時間を楽しむようにしています。

ライブに行く、歌舞伎やお芝居を観る、カリグラフィー(西洋書道)を書くなど、集中して別の世界に浸れる時間はリフレッシュして活力になります。もうひとつ、旧友たちと過ごす時間(…主に飲み会)も、仕事を忘れて素の自分に戻れる大切な場所。最初は、重圧でいつも肩に力が入っていましたが、今は適度に力を抜けるようになってきました。

◆自身・自社の未来

今年は創業70年。誠実に地道に、息の長い企業を目指したいと思っています。100周年を社員みんなと笑顔で祝う元気な82歳になれるようにがんばります。

◆皆さんへのメッセージ

後継者=男子と考える方がまだまだ多い今の世の中。実際に女性後継者は少なく、その中でも夫婦で経営している方も多いです。私も両親から跡を継ぎなさいと言われたことはなく、婿をとって跡を継ぐかあきらめて嫁に出すかの2択しか考えていなかったと思います。「嫁に行って跡を継ぐ」ということが珍しいのか、「姓は変わっているけど後継者」ということをなかなか理解してもらえません。昔からの固定観念を払拭して、多様な跡の継ぎ方、選択肢があることをぜひ知って理解してほしいです。

◆会社概要

三信電工株式会社

1949年(昭和24年)3月、祖父・橋本英夫が宇都宮市で創業。電気・土木・通信・ネット・建柱などの建設工事業、電柱広告などの広告業。社員60名(2019年4月現在)。

所在地:栃木県宇都宮市川俣町1056番地 電話:028-621-0123

http://www.sanshin.ne.jp/